恩師とのお別れ

親愛なる皆様
おはようございます。

長年お世話になった、大変お世話になった
恩師の訃報が届き、昨日は急遽、家内と一緒に
東京のご自宅へ向かった。

(今朝のコラムは少し長くなります)

矢野弾先生、享年89歳。
矢野経済研究所の創業者であり、
数々の公職要職にも就かれ、政界、経済界にも
豊富な人脈を持たれ、引退後は最後まで矢野経
済の特別顧問を務めながら、月刊カレントを出
版する㈱潮流社の代表を務め、後継者への事業
継承もしっかり行なわれ生涯現役を貫かれた。
亡くなる前日まで、世田谷から南青山のオフィス
まで電車通勤をされていた。

激動の時代、激動の生涯を生きながら、
いつも穏やかで冷静で聡明な御方、
とても偉い先生なのに、決して奢らず威張らず、
深い愛情と優しいお人柄の先生でありました。
されど、お会いすると緊張し、背筋が伸びる
思いで、向き合わせて頂きました。
ご自宅や事務所には上京する際に
たびたび訪ねさせて頂き、ご指導を頂いた。
昨年10月の訪問が先生との最後となった。

奥様もまたご多分にもれず実にできた方であり、
ご主人様をいつも立て、しっかり支える昭和
日本を象徴するような、正に良妻賢母の御方です。
昨日も突然の訪問に驚きながらも丁重に温かく
迎えて下さり、こちらの方が励まされ、
優しい言葉を沢山かけて下さいました。

私の地元の中学校に招いて御講演をして頂いた
こと、ヤマネット実践研修名古屋1期生の修了
式に記念講演をして頂いたこと、新潟、米沢、
高知と、旅を共にしたこと・・・
脳裏に思い出が走馬灯のように回ります。

数々の言葉によって、知恵や生きる力を頂きました。

私の息子が大学を卒業した時に色紙に書いて
贈った「人生に卒業なし」の言葉は矢野先生から
頂いた言葉でした。

研修や人財育成の場において使わせて頂いている
言葉の中には、矢野先生から頂いたものが数多く
あります。

言葉の力、威力を教えて下さった恩師です。

私の2冊目の著書では、数ページわたり先生の
ことを書かせてもらっていますので、以下に
その一部を引用致します。

*******
世界観、歴史観、大局観、人生観・・・
今の時代を如何に生きるかを、いつも示唆して下さいます。
ボキャブラリーに富んだ言葉の数々が、泉のように湧き出ずり、
お会いしてお話をお伺いするたびに、一言一句が五官から入り、
五臓六腑に染み込んでいく、お会いするたびにそんなひととき
であります。以下、矢野先生のお言葉を引用させて頂きます。
1945年より日本は三つの変貌をとげ72年目を迎えようと
している。
① 垂直構造秩序社会から水平カジュアル個々バラバラ社会
② 自由・平等・公正の時代から自由・公正・自立(自律)の時代
③ 20世紀は成長と力と拡大の時代、21世紀は心と感性と存在感の時代
現代情報化時代の認識をし、言葉・対応・行動を情報化する。
言葉は命なり、言葉は武器(力)なり、言葉は未来なり。
スポーツ、芸術、学問のみならず、生き方を「究める時代」である。
論理を究める、心理を究める、実践を究める。
秩序を失い、個々がバラバラになってしまった時代を単に
憂うだけではなく、その時代環境の中で我々は如何に在るか、
如何に生きるかを伝える、まるで伝道師のようです。
お会いするたびに、お手紙を読むたびに生きる力を頂きます。
******

少年時代に戦争を経験された矢野先生、
二番目のお兄様は戦地ウクライナで亡くなっています。

月刊カレント4月号のコラム
「今を生きる、明日を生きる」が先生の遺稿となった。
そこには、今のウクライナ情勢を憂い平和への願いと共に、
ウクライナで亡くなった兄への想い、そして、亡きお母様が、
そのお兄様のことを書いた詩が引用されています。
我が子を亡くす親の気持ちは計り知れません。 
涙が溢れます。

先生から学んだことを糧に、今後も精進していくことを
先生の遺影に手を合わせ誓いました。

矢野弾先生のご冥福を心よりお祈り致します。

物流応援団長(兼)応援され団長
山田泰壮(やすお) 拝

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